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転職時の会社の選び方「財務面から会社概要を知る」


転職における会社の選び方には様々な視点がありますが、外部から会社を見る以上、その実態を把握することは困難です。

ホームページ等で公表されている情報には綺麗なことしか書いてありませんし、ネットの掲示板や口コミサイトには不確かなものも多いです。もし社員に話を聞けたとしても、面接官として出てくる社員は自社の悪いところは決して言わず、本音はなかなか話してくれません。

ここでは見方を変えて、財務的な視点から、会社概要を把握する方法をご紹介したいと思います。公表されている財務数値をいくつか拾ってくるというシンプルな方法ですので、上場企業に関心がある場合は、是非トライしてみてください。

 

1.財務視点で企業を見る理由

冒頭で述べたホームページ・口コミ等とは違い、財務数値はまぎれもない事実です。「企業経営の実力を数値化したもの」で、いわゆる「企業の通信簿」みたいなものですね。

こうした財務数値を見ることで、企業の真の姿を垣間見ることができます。もちろん財務数値は「実績」ですので、「将来」も同じかは分かりません。ただ、「これまで会社を成長させてきた事実」があるので、その会社の経営者・社員・ビジネスモデル等は優れており、これからも成長できる可能性が高いことを意味しています。

 

ここでもし、財務数値を見ずに転職先を決めてしまうと…、博打の要素がかなり大きくなります。綺麗なオフィス・立派なウェブサイト・メディアへの露出度・スーパーでよく見る商品…といったことで決めてしまうと、その転職は運否天賦です。あとで転職に失敗したと気づいたときに一番ダメージを受けるのは自分自身ですので、本命企業であればあるほど慎重に決めたいところです

それでは実際に、財務数値から上場企業の「成長性・安定性」そして「社員への還元(≒給与水準)」を見ていきましょう。

 

2.成長性と安定性

まず、対象企業のウェブサイトにアクセスし、株主情報・投資家情報・IR情報といったページを見つけましょう(企業によってページ名は違います)。そのページには有価証券報告書(あるいは決算短信)というファイルが年毎にあるはずです。

そして、そのファイル内の「連結損益計算書」という項目から、「売上高」「売上総利益」「営業利益」の3つの数値を引っ張ってきて、下表のように並べましょう。

20151021_1

 

ポイントは、「5年分の数値を並べること(有価証券報告書は年次)」と「競合と比較すること」の2点です。2年とか3年ですと、数値の増減トレンドを見誤ることがあります。そして1社だけの評価は、その道の専門家でないとなかなか難易度高めです。

上記は、とある業界の小売企業の数値です。業界1位のA社と、業界2位のB社の数値を引っ張ってきました。両者の差はかなり顕著です。B社は元々この業界のトップランナーで堅実経営と言われてきましたが、A社の勢いは止まりません。A社の大きな成長・高い利益は著しく、もしこの業界に転職するなら、A社の方が魅力的かもしれません。

 

ちなみにここで、成長性と安定性を強調しているのには理由があります。一般的に、これらが優れた企業は、転職の文脈では以下のようなメリットがあります。

・会社利益に応じて給料が良いor上がりやすい

・業績不振を理由としたリストラの可能性が低い

・新規事業立上や海外展開といった成長のための仕事は、やりがいがある

(逆に、コスト削減とか撤退といった縮小のための仕事は辛いことが多い)

・会社の制度や仕組みを整備する余力がある(産休・育休等)

・優良企業は世間で着目され、そんな会社で働いているという自尊心が満たされる

 

3.社員への還元(≒給与水準)

続いて、社員への還元を見ていきましょう。ここでも前項と同じく有価証券報告書を使います。

一番分かりやすいのは、有価証券報告書の「従業員の状況」にある「平均年間給与」。ビジネス雑誌で定期的に「平均年収ランキング」といった特集が組まれていますが、この数値を参照していることが多いです。

 

続いて、「労働分配率」という考え方にも着目しましょう。「労働分配率」とは、「企業が生み出した付加価値」に対する「人件費」のことで、上げた利益をどれだけ社員に還元しているかを示す指標です。

この労働分配率は人件費÷付加価値にて表されます。小売やサービス業等における付加価値は、ほぼ「売上総利益」と等しくなりますから、「労働分配率=人件費÷売上総利益」にて計算できます(なお、製造業の場合は、有価証券報告書では計算が困難なため、詳細は割愛)。この労働分配率が大きいほど「社員への還元」が大きいことになります。

 

ここで再び、上記例のA社とB社の労働分配率を見てみましょう。

B社の方が労働分配率が高いですが、これはB社の方が給料が高いことを意味する訳ではありません。年齢構成等要因も絡みますが、B社はA社と比べて、付加価値に対する「社員への還元」が大きいことが分かります。

20151021_2

 

**********

前述の通り、数値は実績ですので将来を保証するものではありません。そして、転職する会社の判断基準は、成長性・安定性・給与水準だけではありません。

ただ、本命企業の実態を「知った上での判断」と「知らない上での判断」は、雲泥の差です。後者の転職が上手くいくかどうかは、天のみが知ることとなってしまいます。

 

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