転職クエスト

突然ですが「転職時には、どんな企業を選ぶべきでしょうか？」。企業の選び方には色々な観点がありますが、どんな業界・業種・年代でも共通して大事な選び方の一つに「どこまで広く/深い経験ができるか」があると考えています。

本日は、経験という視点での企業の選び方についてのお話です。

 

 そもそも企業は永続的に続く訳ではないことは、皆さんご承知のことだと思います。どんなに売上があろうと、歴史があろうと、致命度が高かろうと…、潰れる時は、本当に潰れてしまいます。潰れるまではいかなくても、業績悪化を理由とした大リストラにさらされるリスクは、どんな企業にも等しくあるような世の中になってしまいました。

つまり、（冷たい言い方に聞こえてしまうかもしれませんが）これから選ぶ企業も、いつまで続くか分かりません。だからこそ「同じ企業で一生働き続ける」というのではなく、「企業という場にて、どこまで力を付けることができるか？」が、企業の選び方として大事な考え方となってきます。

 

「力を付けることができる環境かどうか」を見るための1つのポイントは、「どこまで広く深い経験ができるか。どこまで裁量があるか」を入念に見たらいいと考えています。いい意味で、（若手社員も含めて）全員に仕事が丸投げされている状況です。

具体的には、面接やOB訪問で出会った社員に、どんな仕事をしているか徹底的に聞くことです。これが一番効果的です。

真に権限移譲されていて、目の前の社員が自分の足で立っている場合は、どんな質問に対してもリアリティをもって答えてくれるでしょう。逆に、権限や責任はなく、お茶を濁すような（失礼！）・中途半端な仕事しかしてない社員からは、具体的な話は出てきません。ふわっとした「ビッグデータ使ったアナリティクスが…」とか「今流行のソーシャルで…」みたいな言葉が頻出するか、堂々と語ってくれないか、話題をすぐに変えられてしまいます。

 

以上は個社の話ですが、コンサルティングファームや中小企業に、そういった会社は多い気がしています。

余談ですが、私は大企業と中小企業の両方にいました。中小企業では大企業では到底経験できないことを体験できました。仕事を自分で取ってくるところから始まり、自身でサービス提供して、回収業務まで…一連の活動全てが業務範囲でした。逃げ場がない状況で最前線に立つ機会や、ドラマのような人の機微（例えばヒトはお金がない時に豹変する！）を含めて、酸いも甘いも体験できたことは、今でも確実に私の足腰となっています。

あと、個人的な感覚として、その会社にいるトップや先輩以上にはなかなかなれません。これは経験やスキルだけでなく、人柄や立ち振る舞い等も含めた人間的魅力があるかどうかのチェックも重要です。要は、「自分もこんな人になりたい！と思える人が、その企業にどれくらいいるか」ですね。

 

ちなみに、誤解がないように添えておくと、大企業やどの業界でももちろん力はつきますし、優秀な人は沢山いらっしゃいます。そういった人は、「市場価値」を高めるために、高い意識と日々の努力を続けています。経験の幅は限られるかもしれませんが、深さで勝負です。具体的には、どこでも通用する営業力・企画力・財務力等の専門性を徹底的に磨いている方が多いような気がします。

逆に、そういった努力がない場合、大企業で3-5年位同じ職場にいて、その後のキャリアパスは…という色々なものに守られた生活をしていると、一般的には「ゆでがえる」と言われるように、「安定な状態」が当たり前となってしまいます。私が以前にいた大企業の方々にも、そういう人は多くいました。

 

最後に、人脈や給料は後からついてくると個人的には考えています。そういった意味でも、まず徹底的に力を付けられる環境を志向するのがいいかなと思います。

これは若手でもミドル以上でも変わりません。世の中はどんどん変わり、いつ食い扶持がなくなるか分かりません。そんな時に、実力がなくて倒れた時に影響が大きいのはむしろミドル以上です。年を重ねれば重ねる程、レベルアップに向けた努力がより一層必要だと考えています。