転職クエスト

転職や今後のキャリアを考える際、一人で考えたり、周りに相談することも重要ですが、それ以上に重要なのが「本から学ぶこと」。月並みな表現ですが、書籍には、先人達が悩みながら成功したり・失敗したりしてきた経験や叡智が結晶化されています。

例えば経営者は会社におけるリーダーですが、どんな人でもリーダーです。自分の人生におけるリーダーであることはもちろん、所属チームや部署など様々なところでリーダー。そのため、偉大な先人から学ぶべきところは大いにあると考えています。

一生の内かなりの時間を仕事に費やす訳ですから、どうせならいい仕事をしていきたいもの。考え方やスキルをはじめ人間力を高めて良質な経験を積むことが、人生の成長につながることでしょう。転職やキャリアを考える瞬間は、人生の分岐点であることも多く、そうした局面で今後のヒントにつながるおすすめ書籍・推薦図書を４つご紹介します。

 

1.「生き方」

（稲盛和夫／京セラ元社長）

サブタイトル「人間として一番大切なこと」にあるように、稲盛さんの実体験に基づく、人生における考え方や行動の原理原則について書かれています。稲盛さん自身の成功談や失敗談も多くあり、机上ではない・リアルな腹落ち感がある名著。私はこの本を何度も読み返していますが、読むたびに新たな発見があるのはそれだけ深いということでしょう。転職やキャリアを考える際に特に心に刻みたいのは、「人生・仕事の結果＝考え方×熱意×能力」。本書においても数か所で言及されています。

個人的に感じるこの本のメッセージは、「皆が自分の人生の主人公。そしてそれは、人として正しいことをしていれば（原理原則を守ることで）舵取りできるもの」。

 

 

2.「採用基準」

（伊賀泰代／マッキンゼー元採用マネージャー）

マッキンゼーという外資系コンサルティングファームで様々な人を見てきた著者が、マッキンゼーで活躍するリーダーに求められる素養（特にリーダーシップ）をまとめています。

コンサルティングファームは非常に独特な環境です。社内・社外への売り物が自分しかないため、自分自身をどれだけ高めてアピールするかが勝負となります。そのため本書で書かれている素養が多くの企業に共通して求められる訳ではない点は要注意ですが、どんな企業・職種でも「リーダーシップ」は必要な資質です。ミドル層やシニア層においては今まさに必要ですし、若い方においてもリーダーシップを日々意識するとしないでは将来的には天と地との差が生まれます。

本書を通じて、これまでとは一味違うリーダーシップについての気付きが得られるでしょう。

 

 

3.「プロフェッショナルコンサルティング」

（波頭亮／XEED社長。冨山和彦／経営共創基盤社長）

著名なコンサルタントであり経営者の二人が対談形式で、プロフェッショナルに求められる人材像や考え方について語っています。

どんな仕事においても、真のプロフェッショナルが求められる局面は多くあります。特にこれからは、次のような人々は急速に淘汰されていくことでしょう。例えば…、実力がなくて器用さと要領の良さで生きてきた人、中身のないふわっとしたことしか言えない人、地に足がついてなくてふらふらしてる人…。今後は、圧倒的な数のグローバルの優秀な人材や、特定領域では到底太刀打ちできない高精度のロボットと戦わねばならなくなりますから…。

プロフェッショナルな人材を目指したい方におすすめです！

 

 

4.「Zero to One」

（ピーター・ティール／ペイパル創業者）

昨今においては、同じことを繰り返すだけではなかなか価値が出ません。更には、今の業務の延長線上にある改善や効率化だけでも（以前に比べて）価値が出にくくなっている気がしています。

つまり、無から有を生み出す考え方やスキルが求められる局面も多くなっているのではないでしょうか。「新しいアイデア」「新規事業」「新商品」…この辺りはずっと前から言われ続けていることですが、実際にはこれができる人材は稀有。こうしたZeroからOneを生み出すことについて、どんなに小さな領域でもいいので、経験や知見があると大きな価値につながります。

ペイパルを創業したピーター・ティール氏の本書は、スタートアップにフォーカスした内容ですが、ゼロから何かを生み出す考え方を垣間見ることができます。2015年-2016年は日本でも様々なスタートアップが取り上げられていますが、多くは実はZeroからOneを生み出していません。1を1.1にするものだったり、外見は恰好良く見えても中身はビジネスの体をなしていなかったり（Zeroのまま！）…と玉石混合。この本を読むことで、世の中の見え方ががらっと変わるかもしれません。