PDCAサイクルを回すことで「身につく力・向上する力」
採用面接で多い質問の一つが、「これまでに苦労したことは何ですか? どうやって乗り越えてきましたか?」というもの。この質問は、「困難に直面したときの突破力」を見られているだけではなく、「PDCAサイクルを回すことができるかどうか」を見られていることが多いです。
転職時に限らず、あらゆるビジネスにおいてこのPDCAサイクルは重要です。PDCAサイクルを唯一使えるフレームワークとして、高速で回し続けることで結果を出している経営者もいらっしゃいます。
今回は、PDCAサイクルを回すことで「身につく力・向上する力」について考えていきましょう。
1.不確実な中で走ることができる力
ビジネスには不確実なことがつきものです。何かを計画・実行すると、だいたいは予定通りにはいかないため、軌道修正しながら走り直す必要があります。そもそもスタート時点で情報がちゃんと揃っていることはほぼないので、完璧な計画を立てることすらできません。そのためビジネスでは、あっちの方向に進もうと決めること・トラブル発生時にあわてず軌道修正することが求められます。
私自身も新たにビジネスを立ち上げた経験があります。立ち上げ時には、その道に詳しい人に聞いたり・ざっと書籍やネットで情報を得たあとは、不安なところもいくつかありましたが「えいや!」と清水の舞台から飛び降りました。私はそんなに器用な人間ではないので、途中色んなところに頭をぶつけて・回り道もしましたが…、先が見えない中でなんとか進んできた経験は、これからの人生においても役に立つだろうと思っています。
一方、確実な状況になるまで動けない人や、なにかが起きたときに軌道修正できずに立ち止まってしまう人がいます。こういう人は指示されたこと・手順通りのことはできますが、予想外のことが起きると自分で考えられずに指示を待つ傾向に。こういう姿勢では日々の仕事はままなりませんし、転職においてもうまくアピールすることは難しいかもしれません。
2.精度の高い先読み力(仮説構築力)
PDCAサイクルを回し続けることで、「仮説構築」→「仮説検証」のワンセットを数多く経験することができます。
仮説とは「今の限られた情報をもとに考えると、これから先はこうなるだろう」という“読み”に近いものです。そして最初の仮説は精度が低いため、あとで「その“読み”が正しかったかを確かめる」という検証までのワンセットを完結させることで、先読み力の精度をどんどん上げていくことができます。“読み”が当たった時にも「どうして当たったんだろう?」、逆に“読み”が外れた時にも「どうして当たらなかったんだろう?」と考えることで自分の中でストックが増えていきます。
ちなみに先読みの対象は、「世界経済が今後どうなるか?」といった大きなことより、もっと身近なことで実践するのがいいでしょう。例えば、集客時に「こういう新しいことをすると、こういう理由で集客数は増えるのでは?」とか、製造現場で「歩留まりがバラついてきたが、理論上はこの箇所に不具合があるのでは?」といったところから始めることで、確実に力がつきます。なお仮説を立てるときのポイントは「勘やあてずっぽうではない」ということです。現状と仮説の間に「理由・理論」を入れながら考えていくことで、再現性・汎用性のある「考える力」が身に付きます。
こうして先読み力の精度が上がってくると、なにごとも外しにくくなります。世の中には、なぜか先回りして準備できている人・先を見通せているかのような人がいるが、そういう人はこの仮説構築力が高いですね。
3.どんな状況でも自信を持てる精神力
先が見えない中、PDCAサイクルを回しながらなんとかゴールに辿りつけた経験が蓄積してくると、「どんな状況でもなんとかなる感」つまり「自信」がついてきます。
この自信はチームで仕事をするときに特に大事です。なにか問題が起きたときに騒ぎ立てる人がいます。「どうしてこうなったんだ!」「今すぐなんとかしろ!」「再発防止策は!?」と。こんな人がチームリーダーだとすると、メンバーは絶対についてきません。
多少のことが起きても、PDCAを回すことで最終的に着地させてきたという自信は、口に出さなくても確実に相手に伝わります。余裕ある態度であったり、メンバーを見守る姿勢であったり。こうしたリーダーの自信によってチームメンバーは安心して仕事に集中できるようになるのです。
なお、この話はもちろんリーダーに限ったことではありません。なにかコトが起こったときに、チームメンバーでもヒステリックに騒ぐ人がいると、チーム内の雰囲気や人間関係は一気に悪くなってしまいます(経験上、自分に自信がない人ほど声が大きい…涙)。各メンバーに大なり小なりPDCAサイクルを体験させて自信を持ってもらうといったことが、チームマネジメントにおいても重要だと考えています。
まとめ
PDCAサイクルを通じて上記3つの力が身につくことによって、次のPDCAサイクルがさらに高度化していきます。高度化とは、高速に回せるようになったり・複数のサイクルを回せるようになったり。
例えば農業×ITで注目されている株式会社GRAの岩佐社長は「唯一、ずっと使えるフレームワークはPDCAしかない(出典:GLOBIS知見録)」、そして「ビジネスでも勉強でも絶対にうまくいく成功法則は一つもないが、唯一近いものがあるとしたらPDCAの高速回転をひたすらに繰り返すこと(出典:Yahoo!ニュース)」とおっしゃっています。
PDCAサイクルは回せば回すほどレベルアップしていきます。「PDCAサイクル」→「今回お話した3つの力が身につく」→「より高度な次のPDCAサイクル」→…という好循環に入ることで、どんな環境でも価値を出すことができるようになるでしょう。
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